天体望遠鏡があれば、月のクレーターや土星の輪が見える。
そんな期待を持って天体望遠鏡を購入する人は多いと思う。
私が所有しているのは、ビクセンの「スペースアイ700(Space Eye 700)」という天体望遠鏡だ。
実際に使ってみると、月は想像以上によく見える。一方で、土星は思っていた以上に小さい。
そして、初心者が最初につまずきやすいのが、実は天体を見る前の準備だった。
それが「ファインダー合わせ」だ。
スペースアイ700はどんな望遠鏡?
スペースアイ700は口径70mm、焦点距離700mmの屈折式天体望遠鏡だ。
付属の接眼レンズでは35倍と117倍の観察ができる。月や惑星の観察を楽しめる初心者向けのモデルで、比較的持ち運びもしやすい。
しかし、望遠鏡を組み立てて夜空に向ければ、すぐに見たい天体が見えるというわけではない。
最初の難関はファインダー合わせ
天体望遠鏡を使ううえで、ぜひ知っておいてほしいのがファインダーの調整だ。
ファインダーとは、望遠鏡本体についている小さな補助望遠鏡のこと。見たい天体を望遠鏡の視野に入れるために使う。
ところが、このファインダーが本体と違う方向を向いていると、目標の天体を捉えるのが難しくなる。
ファインダーでは月が真ん中にあるのに、望遠鏡本体を覗くと何も見えない。
そんな状態にならないよう、最初に両者の向きを合わせておく必要がある。
ファインダーの合わせ方
調整は夜よりも、周囲が明るい昼間に行うほうが分かりやすい。
- 2km以上離れた建物の先端やアンテナなど、動かない目標物を決める。
- 低倍率の35倍の接眼レンズを使い、望遠鏡本体でその目標物を視野の中央に入れる。
- 望遠鏡本体を動かさないようにして、ファインダーを覗く。
- ファインダーの調整ネジを操作し、十字線の中央に同じ目標物が来るようにする。
- 最後にもう一度、望遠鏡本体とファインダーの両方で目標が中央に見えることを確認する。
大切なのは、先に望遠鏡本体で目標を捉え、その位置にファインダーを合わせること。
順序を逆に考えると、かえって分かりにくくなる。
なお、調整中はもちろん、どのような場合でも望遠鏡やファインダーを太陽へ向けたり、直接覗いたりしてはいけない。
この準備さえできていれば、夜間の観察はずっとスムーズになる。
月の観察は期待以上だった
スペースアイ700で特に印象的なのが月だ。
月の表面は思っていた以上によく見える。
肉眼では明るい円盤のように見える月だが、望遠鏡を通すと、球体であることを実感できるような立体感がある。
クレーターの存在もはっきり分かる。
ただ明るく光っているだけではなく、月の表面に凹凸があることが目で確認できる。
これは写真で月を見るのとは違った楽しさだと思う。

クレーターを観察するなら、満月よりも欠けている部分がある月のほうが、影によって地形が分かりやすいこともある。
スペースアイ700は初心者向けの望遠鏡だが、月の観察については十分に楽しめる性能があると感じる。
土星は思った以上に小さい
一方、土星は月とは少し印象が違う。
望遠鏡で土星を見るといえば、大きな惑星の周りに立派な輪が広がる姿を想像するかもしれない。
しかし、実際にスペースアイ700で見る土星は小さい。
天体写真のような迫力を期待すると、その大きさには少し驚くと思う。
ただ、それは望遠鏡の性能が悪いという意味ではない。
土星は地球から非常に遠く、望遠鏡で観察しても視野の中では小さく見える天体だ。輪の見え方も時期や観察条件で変わってくる。
むしろ、小さくても遠く離れた惑星を自分の目で捉えることに、天体観察の面白さがあるのかもしれない。
倍率を上げればよく見えるわけではない
スペースアイ700には35倍と117倍の接眼レンズが付属する。
初心者は倍率の高い117倍を使いたくなるが、最初から高倍率で目標を探すのは難しい。
倍率が高くなるほど視野が狭くなり、少し望遠鏡の向きがずれただけで天体を見失いやすくなる。
まず35倍で目標を視野に入れ、中央に移動させてから117倍に切り替えると扱いやすい。
ただし、倍率を上げれば必ず鮮明になるわけではない。大気の揺らぎや観察条件によって、低倍率のほうが見やすい場合もある。
スペースアイ700を買ってよかったか
天体望遠鏡は、決して安い買い物ではない。
だからこそ、購入前には何がどの程度見えるのかを知っておいたほうがいい。
スペースアイ700の場合、月の観察は期待できる。一方で、土星などの惑星については、写真と同じような見え方を期待しすぎないほうがいい。
また、購入後すぐに使いこなせるとは限らない。
特にファインダー合わせは、取扱説明書を読んででも最初に済ませておきたい作業だ。
この調整ができるかどうかで、観察のしやすさは大きく変わる。
まとめ
スペースアイ700は、月の表面を自分の目で観察する楽しさを教えてくれる天体望遠鏡だ。
クレーターが見えることや、月が球体であることを感じられるだけでも、十分に面白い。
一方、土星は思っていた以上に小さい。
天体写真から想像する世界と、実際に望遠鏡で覗く世界には違いがある。
そして、初心者にとって何より重要なのは、倍率よりも先にファインダーを正しく合わせることだ。
望遠鏡を買ったものの、目標の天体が見つからない。そんな理由で使わなくなってしまうのはもったいない。
最初の調整をしっかり行い、まずは月を観察してみる。
そこから天体望遠鏡の楽しさが広がっていくと思う。


