ビリヤードに興味を持ったきっかけを思い返すと、たぶん子どもの頃に観た映画『ハスラー2』だったと思う。当時はビリヤードのことなんて何も知らなかった。それでも、キューを持って球を撞く姿がやたら格好よく見えたのは覚えている。
もちろん、そのときは自分が後になってビリヤードにハマり、マイキューを買って、さらにカスタムキューにまで手を出すとは思っていなかった。
思わぬ臨時収入でキューを買う
実際にビリヤードを始めることになったきっかけは、思わぬ臨時収入だった。今だったらもう少し考えてから使うと思うけど、当時は世間知らずの怖いもの知らず。なぜか「キューを買おう」と思った。
しかも向かったのは、それまで一度も行ったことがない、プロが経営しているというビリヤード場。そこでいきなりキューを注文した。今考えると、なかなか無茶な買い方だったと思う。
普通なら何度か店に通って、いろいろなキューを触らせてもらって、詳しい人の話を聞いてから買うんだろうけど、そんなことは全くしなかった。最初に買ったマイキューはMezzだった。
マイキューを持つと、やっぱりハマる
自分のキューを持つと、それまでとは少し感覚が変わる。ハウスキューを借りて撞くのではなく、自分のキューケースを持ってビリヤード場へ行く。それだけで、ちゃんとビリヤードをやっているような気分になった。
そこからは自然とキューそのものにも興味が出てきた。そして知ってしまったのが、カスタムキューの世界だった。
TAD、South West、Balabushka、McDaniel、Jacoby、Richard Black、Cognoscenti、Joss West。当時は本当に憧れた。
もちろん値段も高い。簡単に買えるようなものではなかったけど、ビリヤード場や雑誌で見るたびに「いつか欲しいな」と思っていた。
Samsara、McWorter、Lambrosなんかは、当時の自分には比較的新しいカスタムキューという印象だった。今みたいにスマホで検索すれば何でも出てくる時代じゃない。だから雑誌で見たり、ビリヤード場で誰かが持っているキューを見たりして覚えていった。
知らなければMezz一本で満足していたのかもしれない。でも、知ってしまった。これがまずかった。
2年ほどしてCokerを手に入れた
Mezzを買ってから2年くらい経った頃だったと思う。ついに自分もカスタムキューを手にした。Cokerだった。
憧れていたカスタムキューを実際に自分で持つというのは、やっぱり嬉しかった。ケースから出して眺めるだけでも満足できたし、ビリヤード場へ持っていくのも楽しかった。
量産キューとは違って、「このキューを作った人がいる」という感じも好きだった。ただ、実際に使ってみると当たり前のことにも気づく。
カスタムキューを持っても急に上手くはならない
Cokerを手にしたからといって、ビリヤードが急に上手くなるわけではなかった。まあ、当たり前なんだけど。
いいキューを買うと、なんとなく今までより球が入るような気がする。少しくらい上手くなるんじゃないかとも思う。そんな都合のいいことはなかった。
狙うのは自分だし、撞点を決めるのも自分。力加減を間違えるのも自分なら、球を外すのも自分。キューのせいにはできない。
でも、それでカスタムキューに興味がなくなったかというと、全くそんなことはなかった。むしろ逆だった。
上手くならなくても欲しくなる
今になって思えば、キューに求めていたのは性能だけじゃなかったんだと思う。木の組み合わせやデザイン、作った職人、そのメーカーの歴史。そういうものまで含めて面白かった。
釣りをやれば竿やリールが気になるし、ゴルフをやればクラブが気になる。野球ならグローブやバットが気になる。結局、昔からやっていることはあまり変わっていない。
道具を調べて、比べて、欲しくなって、実際に使ってみる。そして「これを買えばもっと上手くなるんじゃないか」と少し期待する。たいてい、そんなに簡単には上手くならない。
始まりは『ハスラー2』だった
こうして振り返ってみると、全部の始まりは子どもの頃に観た『ハスラー2』だった。そこから実際にビリヤードを始め、最初のMezzを買い、カスタムキューに憧れてCokerを手にした。
TAD、South West、Balabushka、McDaniel……。当時憧れていた名前を今見ても、やっぱりちょっと特別な感じがする。
カスタムキューを買ったからといって、ビリヤードが上手くなるわけではない。それはCokerを手にしてよく分かった。
それでも欲しくなる。今考えると、そこまで含めてビリヤードにハマっていたんだと思う。


